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すごいぞタマムシ博士【後編】
タマムシ博士の快進撃
1500年の時を超えた奇跡

by 岡村直人
2020年1月1日
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タマムシ博士の秘密に迫る連載シリーズ第3弾。いよいよ最終回。

 

前・中編はこちら ↓

すごいぞタマムシ博士【前編】世界一きれいな虫を30年研究

すごいぞタマムシ博士【中編】1年で300匹羽化! 成育期間の短縮実験に成功! 驚くべき研究成果の数々!

 

タマムシ博士こと芦澤七郎さん近影。

 

 タマムシ博士こと芦澤七郎さん(87)はタマムシ飼育歴30年以上。長年の飼育経験を経て、かつて誰も研究していなかったタマムシの生態を明らかにし、人口養殖にも成功。また、寿命が尽きたタマムシを標本にして保存し、その羽を使って世にも珍しいタマムシアクセサリーを製作販売しています。

 

今回は、タマムシ博士が起こした奇跡の話をお送りします。


韓国へタマムシ1000匹を無償で提供

 

ーー芦澤さん、タマムシを30年以上育ててきた中で、特に思い出深いことはありますか? 

あそこに写真があるでしょ。

その写真。 

ーーはい。あれは?

「玉虫馬具」といってね、韓国の「皇南大塚(こうなんおおつか)」という古墳から出土したタマムシの羽が装飾されている馬の鞍の一部。

ーー日本では「玉虫厨子」(※国宝、詳しくは前編参照→すごいぞタマムシ博士【前編】世界一きれいな虫を30年研究)にタマムシの羽が装飾されてましたけど、韓国にもタマムシの羽を使ったものがあったんですね。

この写真はその「複製品※」なの。

ーー複製品?

そう。本物は保存状態が悪いから、複製品を作って後世にタマムシ装飾の歴史的な価値を伝えていこうという計画が立ち上がってね。


※玉虫馬具の複製品…皇南大塚から玉虫馬具が出土したのは1973年。玉虫馬具複製計画は、慶州国立博物館、慶州文化財研究所、ウルサンMBC(テレビ局)の共同事業。


こちらは日本の国宝「玉虫厨子」

タマムシの羽が装飾された仏具を収める入れ物。奈良県法隆寺所蔵。

 

玉虫馬具は1500年前に作られたもので、日本の「玉虫厨子(たまむしのずし)」より100年ぐらい古いと言われてるの。ところが、複製品を作ろうとしても韓国にはタマムシが全然いないわけ。

ーーそうなんですか。どうして韓国にはタマムシがいないんですか?

タマムシは暖かいところにしか生息しないんだよ。日本でも寒いとこにはタマムシはいないんだ。北海道とか青森にはいないんだよ。韓国は気温が低いからタマムシは希少で数がとても少ないんだ。韓国だとタマムシは天然記念物※なんだよ。(韓国においてタマムシが天然記念物に指定されたのは2008年)

ーー完全に生息していないってわけじゃないけど、とても数が少ないと。

今、韓国で今タマムシは天然記念物なんだよ。(※2008年、天然記念物に指定された)

ーー天然記念物レベルで希少なんですか。

そう。だから複製品を作る時にタマムシがたくさんいる日本で集めようとしたわけ。ところが、これが思うよういかなかった。思うように数が集められなかったみたいで、複製計画が一時休止になってね。それで…

ーーあ、大体わかってきました(笑)タマムシ博士の出番だ!

そう。それで、タマムシを人工飼育している僕のことをどこからか知ったんだろうね。2005年に韓国から「タマムシを譲ってほしい」って電話があったの。その後に分厚い手紙も届いた。その時は(韓国でタマムシは)まだ天然記念物じゃなくて保護虫だったんだけどね。

 ーーそれで、譲ったんですか?

1000匹無償で譲った。

ーーえぇっ!?  1000匹も! しかも無償で? じゃあ、複製品に使われているタマムシは芦澤さんが育てたタマムシなんですか?

そう。全部じゃないけどね。玉虫馬具の複製にはタマムシ3000匹分必要だというから「役に立てるなら」って標本にして保存していたタマムシを1000匹提供したわけ。

ーーちょっと待ってください。芦澤さんが飼ってるタマムシって、1年に成虫になるのは100~300匹っ話でしたよね。うまく生育させることが出来ずに四苦八苦した期間も考えると、芦澤さんがタマムシを1000匹分ストックするには何年も何年もかかったはずじゃないですか。それを無償で提供するなんて…

うん、無償じゃないと意味がないと思ったんだよね。

ーー意味?  どんな意味ですか?

う~ん、あんまり深く考えてなかった。ハッハッハ!

ーー・・・良い人過ぎますよ!  玉虫馬具を複製しようとしていた韓国の人たちからすれば、芦澤さんは救世主だったんでしょうね。天然記念物級に貴重な虫を1000匹も。しかもタダって。

複製品が完成した2006年に慶州博物館でお披露目の除幕式をやったわけ。そこへ招待されてね、大臣と館長と一緒に幕を引かせてもらった。ハハハ!それから縁ができて、慶州の昆虫博物館からタマムシの飼い方を教えてと言われたりして、何回か韓国へ行ってるの。

ーー無償でタマムシを提供したからこそ生まれた縁だったのかもしれませんね。すげえ。


1500年の時を超え、タマムシで日韓をつなぐ

 

さっきも言ったけど、韓国の玉虫馬具は約1500年前のもので、日本の玉虫厨子は約1400年前に作られたものだと言われているわけ。玉虫馬具の方が100年ほど古いらしいんだ。1500年前は寒冷期で今よりも気温が低かったとされているから、その当時、韓国にタマムシがたくさん生息してるとは考えにくいわけ。

ーーということは、1500年前の玉虫馬具に使われてたタマムシの羽って、日本のヤマトタマムシってことですか?

そうそう!  玉虫馬具に使われていたタマムシは日本のヤマトタマムシだと考えるのが妥当というわけ。当時、新羅と日本は交易が盛んだったから、日本からタマムシを持ち帰ったのかもしれないんだ。

ーーへぇー。

玉虫馬具の唐草模様をした透かし金具

 

それとね、玉虫馬具と玉虫厨子は同じ技法で作られていて、両方とも唐草模様の透かし金具の下にタマムシの羽が敷き詰められてるんだ。馬具が作られた100年後に玉虫厨子が作られたわけだから、その間に韓国から日本へ海を越えて文化の伝来があったのかもしれないと考えられるわけ。

ーーうわ、 そう考えるとすごい壮大な話ですね。

タマムシが紡ぐ日韓歴史ロマン!  と、いうわけだ。ハッハッハ!

 ーー芦澤さんがタマムシを韓国に提供してしたのって、その再現というか、『1500年の時を超えて、日本と韓国をタマムシで再び繋いだ』ってことですか?

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

そう! すごいでしょ?   ハッハッハ! もっと褒めて!

ーーハッハッハ! すごすぎますよ!


タマムシ博士、映画に出る

 

 

面白いことにね、韓国で「玉虫馬具」の複製が作られていた同時期に日本でも偶然「玉虫厨子」の複製品が作られてたわけ。

ーーえっ玉虫厨子も複製されたんですか? シンクロニシティってやつでしょうか。

玉虫馬具と玉虫厨子、両方の複製過程をドキュメンタリー映画にしようって話が上がってね、そこにDVDがあるでしょ。玉虫厨子と玉虫馬具の複製を作るそれぞれの現場を取材して、タマムシが結ぶ日韓文化交流の歴史に迫る、といった内容でね。

 「海峡をつなぐ光」/制作:平成プロジェクト 2011年 

 

ーーん?

 

 

docoda20475116571050.jpeg

 

ーー芦澤さんの名前がある! ってことは出演してるんですか?

うん、出た(笑)この映画は成虫になったタマムシが木から出てくるところから始まるんだけどね、そのシーン、僕の家で撮影したの。「タマムシが出てくるまで数日かかるかもしれないですよ?」なんて監督と話をしてたんだけど、運良く撮影を始めてすぐ出てきてくれてね。

 

 映画冒頭のシーンを別カメラで撮影した映像がこちら。

 

DVDを借りて見てみると、芦澤さんがバッチリ出演していた!

 

「海峡をつなぐ光」はね、藤枝で先行上映会をやったの。

ーータマムシを通じて国際交流したり、映画に出演したり、そんなことってあるんですねぇ。

あるんだよ! ハッハッハ!






その他、糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」など、タマムシ博士の活動はさまざまなメディアで取り上げられています。→「タマムシに会いたい」






 趣味が高じて、作っちゃった

 

取材からしばらくして、タマムシ博士から「ふれあいタマムシ展を開催するので良かったら来て」と連絡をもらいました。会場の藤ノ瀬会館に到着すると・・・

 

海外のタマムシ数百匹を使って作ったという巨大タマムシに出迎えられました。すっごいインパクト。

 

会場内ではタマムシアクセサリーの展示販売されており、

 

展示の目玉は、タマムシ100匹を放し飼いにし手に取って観察することができる「タマムシふれあい体験小屋」。タマムシ博士曰く「世界初の試み」だそう。

 

子どもたちは初めて見るタマムシに興味津々。

 

古来より人々を魅了し続けるタマムシの美しさ。タマムシ展には、子ども連れの家族や大学生、玉虫愛好会の方々など、老若男女幅広い年代の人たちが足を運んでいました。タマムシ博士から聞いた話によると、はるばる北海道から「タマムシを見たい! 」と来てくれた虫好きの少年や(北海道にタマムシは生息していない)、韓国、フランスと海外の方も来てくれたのだとか。

 

会場には「あるもの」が鎮座していました。

 

ーー芦澤さん!  これって・・・

ハハッ!  作っちゃった。

 

ーー玉虫厨子じゃないですか!!!

 本物の3分の1の大きさだけどね。 ふたつ作って、ひとつは法隆寺に寄付した。

 

この日もタマムシ博士はいつもと同じようにごきげんで、頭にタマムシを乗せて、「あっ!タマムシ」なんて、しょんないダジャレを言っていました。タマムシは幸運を呼ぶ虫だと言われています。いつも笑っていて幸せそうなタマムシ博士を見ていると、それもあながちウソじゃないかもな、なんて思ってしまいます。

 






タマムシの里
〒426-0034 静岡県藤枝市駅前3丁目9ー11
TEL 054-644-9030
営業時間 9:00〜17:00
定休日 月曜日・祝日
Blog:http://tamamushinosato.blog.fc2.com/






 

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